コラム

新築のフローリングの選び方とは?考慮すべきポイントをおさらい

2024.10.12

フローリングは、住まいの快適さや雰囲気を大きく左右します。しかし、デザインや色だけで選ぶのではなく、機能性や快適さを考慮することも大切です。新しく家を建てるなら、足腰への負担を軽減し、掃除のしやすさも重視して選ぶのがおすすめです。この記事では、フローリングの種類や選び方のポイントを解説し、後悔しないためのフローリング選びについて詳しく見ていきます。
 

足腰に優しいフローリングとは?

フローリング選びでまず考慮すべきは、家族の健康や快適性です。特に長時間立っていることが多いキッチンやリビングでは、足腰に負担の少ないフローリングが理想的です。硬すぎる床材は、長時間歩いたり立ったりする際に足腰に大きな負担をかけ、疲労感を感じやすくなることがあります。そのため、柔らかさやクッション性を備えた床材を選ぶと良いでしょう。

 

無垢材フローリングの柔らかさ

 
無垢材フローリングは、自然の木材をそのまま使用しているため、自然な柔らかさと温かみを感じることができます。特に、針葉樹系のフローリングは広葉樹に比べて柔らかく、足腰に優しい特徴があります。例えば、スギやヒノキなどの木材はクッション性が高いため、子供や高齢者がいる家庭ではおすすめできる選択肢です。

一方で、広葉樹系の木材(ナラやケヤキなど)は硬めで耐久性が高い反面、足腰に対する負担がやや大きくなります。そのため、長時間立ちっぱなしの作業が多い場合や、家事の際に歩き回ることが多い家庭では、柔らかい材質の無垢材を選ぶ方が快適です。

 

クッションフロアやコルク材の利点

 
また、クッションフロアやコルク材も足腰に優しい選択肢です。クッションフロアは、ビニール製の表面にクッション材が組み込まれており、適度な弾力があります。足の疲れを軽減し、歩く際の衝撃を和らげることができます。さらに、防水性や耐汚性に優れているため、キッチンや水回りにも最適です。

コルク材は、自然由来のクッション性を持ち、非常に足に優しい素材として知られています。足腰への負担が気になる場合は、コルク材のフローリングを選ぶのも一つの手です。

掃除がしやすいフローリングの特徴

フローリングの掃除のしやすさも、住まい作りに欠かせない要素ですよね。汚れやホコリが目立ちにくく、日々のお手入れが簡単な床材を選べば、家事の負担を大幅に軽減できます。
 

抗菌・防汚コーティングの効果

 
最近では、抗菌や防汚コーティングが施されたフローリングが人気を集めています。これらのコーティングは床の表面に汚れが付着しにくく、掃除が楽になるのが特徴です。小さなお子さんやペットがいる家庭では、食べこぼしやペットの毛が床に落ちてしまうため、掃除のしやすさは大きなポイントになります。

抗菌コーティングは、細菌の繁殖を防ぐ効果があり、清潔な住空間を保ちやすくなります。防汚コーティングと組み合わせることで、フローリングの表面にこびりついた汚れも簡単に拭き取れるため、掃除の手間が大幅に軽減されます。
 

掃除ロボットに適したフローリング

 
掃除のしやすさを考慮する際、最近人気のある掃除ロボットとの相性も重要です。掃除ロボットを使用する家庭が増えているため、床の凹凸や段差が少ないフローリングが人気です。特に、ビニールフロアやフラットなフローリング材は、掃除ロボットがスムーズに動作しやすく、効率的に部屋全体を掃除できるメリットがあります。

また、静電気の発生を抑えたフローリングも掃除がしやすいです。静電気が発生しやすい床材では、ホコリやペットの毛が床に付着しやすく、掃除の頻度が増えてしまいます。静電気防止加工が施された床材を選ぶことで、掃除の手間を減らせるでしょう。
 

色や仕上げが掃除のしやすさに影響

 
フローリングの色や仕上げも、掃除のしやすさに大きく影響します。一般的に、明るい色のフローリングは汚れやホコリが目立ちにくく、日常的なお手入れが楽になります。一方、ダークカラーのフローリングは高級感があるものの、ホコリやペットの毛が目立ちやすいため、こまめな掃除が必要です。

また、光沢のある仕上げは、汚れを拭き取りやすい反面、指紋や足跡が目立ちやすいというデメリットもあります。そのため、掃除をする時間があまり取れない場合は、マット仕上げのフローリングを選ぶ方が適していることもあります。

 

フローリングの素材別比較

フローリングの素材にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる特徴やメリットがあります。ここでは、代表的なフローリング素材についてその特徴を比較してみましょう。
 

無垢材フローリング

 
無垢材フローリングは、自然の木材をそのまま使用した贅沢な素材です。木そのものの温かみや美しさが感じられ、年月が経つごとに風合いが増していくのが特徴です。足腰への負担を軽減するためには、柔らかい針葉樹系の木材を選ぶのがポイントです。ただし、無垢材は水分や湿気に弱く、定期的なメンテナンスが必要なため、水回りや湿気が多い場所には不向きです。

 

複合フローリング

 
複合フローリングは、表面に天然木を貼り合わせた素材で、無垢材に比べて手頃な価格でありながら、木の質感を楽しむことができます。耐久性に優れ、メンテナンスも比較的簡単ですが、表面の木目は薄いため、無垢材のように深い風合いを楽しむことは難しいです。掃除のしやすさや手入れの簡単さを重視する場合には、複合フローリングも視野に入れておくと良いでしょう。

 

ビニールフロア

 
ビニールフロアは、耐水性や耐久性に優れており、キッチンや洗面所、トイレなどの水回りに最適な床材です。掃除が簡単で汚れや傷が付きにくいため、ペットや子供がいる家庭でも安心して使用できます。

 

ペットや家族のライフスタイルに合ったフローリング選び

 
フローリングを選ぶ際には、家族構成やライフスタイルも考えてみましょう。特にペットを飼っている家庭や小さな子供がいる場合、フローリングの耐久性や安全性に特別な配慮が必要です。

 

ペット向けのフローリング

 
ペットと一緒に暮らす家庭では、ペットの爪による傷や滑りやすさに注意が必要です。フローリングが滑りやすい場合、ペットが走り回った際に関節を痛めたり、転倒するリスクが高くなります。これを防ぐためには、滑り止め加工が施されたフローリングや、ペット向けに特別に開発されたフローリングを選ぶと良いでしょう。ペット用フローリングは表面が滑りにくく、爪で傷つきにくい素材が使われているため、ペットが安全に過ごせるようになります。

また、ペットがトイレを失敗した際にも掃除がしやすく、耐水性がある素材がおすすめです。ビニールフロアやクッションフロアはその点で非常に優れており、ペットを飼っている家庭で特に人気があります。防臭機能が付いたフローリングもペット特有の臭いを軽減する効果があるので、候補に入れてみてはいかがでしょうか。
 

子供がいる家庭でのフローリング選び

 
小さな子供がいる家庭では、フローリングの安全性や掃除のしやすさが特に重要です。子供は食べこぼしや飲みこぼしをすることが多いため、防水性のあるフローリングや汚れが簡単に拭き取れる素材を選ぶことが大切です。ビニールフロアやコルク材は、こうした場面に適しており、手入れが簡単で、子供が遊んでいても安心して使える耐久性があります。

また、子供がフローリングの上で転倒した場合、硬い床材だとケガをしやすくなります。そのため、柔らかい材質のフローリングを選ぶことで、転んだ際の衝撃を和らげ、ケガのリスクを軽減するのも良いでしょう。無垢材やクッションフロアはそのような柔軟性があるため、子供の安全を考慮したフローリングとして人気があります。
 

エコフレンドリーなフローリングの選び方

 
最近では、環境に配慮した素材や製造方法が注目を集めており、エコフレンドリーなフローリングも選択肢としてよく検討されています。フローリング選びにおいても、持続可能な素材やリサイクル可能な製品を選ぶことで、環境保護に貢献できます。
 

サステナブルな素材の選択

 
無垢材フローリングは、持続可能な森林管理によって伐採された木材を使用することで、エコフレンドリーな選択となります。FSC(森林管理協議会)認証を受けた木材を使用しているフローリングは、環境への負荷を抑えつつ、自然の風合いを楽しむことができるため、環境意識の高い消費者に人気です。また、リサイクルウッドや再生素材を使用した複合フローリングもあるため、選択肢も多いと言えます。
 

VOC(揮発性有機化合物)の低いフローリング

 
フローリングの中には、製造過程で化学物質が使われることがあり、これが室内の空気汚染の原因となることがあります。特に新築やリフォーム後の家では、VOC(揮発性有機化合物)が原因でシックハウス症候群を引き起こす可能性があります。そのため、VOCの少ないフローリングや、自然由来の接着剤や仕上げ剤を使用した床材を選べば、健康的な住まいになるでしょう。

自然塗装や無垢材のフローリングは、化学物質の使用が少ないためキレイな空気を保ちやすく、特にアレルギーを持つ人や小さな子供がいる家庭にはおすすめです。

 

長期的なメンテナンスと耐久性

 
フローリング選びでは、見た目のデザインや初期費用だけでなく、長期的なメンテナンスや耐久性も考慮しておきましょう。初期費用が安いフローリングでも、頻繁に修理や交換が必要になる場合は、長い目で見て高くつくこともあります。
 

耐久性の高い素材

 
広葉樹系の無垢材や複合フローリングは、硬くて耐久性に優れているため、傷が付きにくく、長期間にわたって美しい状態を保てます。特に、ハードウッドフローリングは高い耐摩耗性があるため、頻繁に人が通るリビングや廊下などに適しています。

一方で、柔らかい針葉樹系のフローリングやクッションフロアは傷がつきやすいため、定期的なメンテナンスや補修が必要になることがあります。ただし、これらの素材は、簡単に補修できるという利点もあるため、メンテナンスが苦にならない場合には柔らかい素材も検討できるでしょう。
 

メンテナンスの手間

 
フローリングのメンテナンスには、定期的なワックス掛けや、表面の再塗装が含まれることがあります。無垢材フローリングは、定期的にメンテナンスを行うことで長く使い続けることができる一方、複合フローリングやビニールフロアは、メンテナンスの手間が少ないという利点があります。掃除のしやすさや、汚れが付きにくい加工が施されているフローリングは、忙しい方におすすめです。
 

床暖房に適したフローリング

 
新築に床暖房を導入しようか検討している方は、フローリング選びでも床暖房向けのものを選ばなければいけません。床暖房は冬場の冷え込み対策として人気ですが、すべてのフローリング材が床暖房に適しているわけではありません。適したフローリング材を選ばなければ、長期的に反りや割れが発生し、床材が損傷してしまうリスクがあります。
 

床暖房対応の無垢材フローリング

 
無垢材フローリングは、木の自然な質感や風合いを楽しめるのが大きな魅力ですが、木材は温度や湿度の変化に敏感なため、床暖房との相性は注意が必要です。床暖房対応の無垢材フローリングは特殊な加工が施されており、熱による変形や割れが少なく、長期にわたって美しい状態を維持できます。選ぶ際には、床暖房対応と明記された商品を選ぶのが安全です。
 

複合フローリングの利点

 
複合フローリングは、表面に天然木を使用し、内部に合成素材を組み合わせた構造になっているため、床暖房との相性が良いのが特徴です。熱による変形が少なく、無垢材よりも耐久性に優れているため、床暖房を使用する家庭におすすめです。また、複合フローリングはさまざまなデザインや質感を選べるため、部屋のインテリアに合わせてカスタマイズが可能です。
 

フローリングのカラーとデザイン選び

 
フローリングは部屋の印象を大きく左右するため、色やデザイン選びも慎重に行いましょう。どんなに機能的なフローリングであっても、部屋の雰囲気に合わなければ統一感を欠いてしまう可能性があります。カラーやデザインの選び方にもいくつかのポイントがあります。
 

明るい色で広く見せる効果

 
明るい色のフローリングは、部屋を広く見せる効果があります。特に、日当たりが悪い部屋や広さに制限がある空間では、ホワイト系やライトベージュのフローリングを選ぶと、圧迫感を感じさせないスッキリとした印象を作り出せます。また、明るい色のフローリングは、モダンで洗練されたインテリアにぴったりです。
 

暗めの色で落ち着きのある空間

 
ダークブラウンやウォールナット系のフローリングは重厚感があり、落ち着いた空間を演出します。クラシックなインテリアや、シックな雰囲気を好む方には、このような暗めのカラーがおすすめです。暗い色のフローリングは、家具やアクセサリーの選び方次第でモダンな印象にも変えられます。ただし、部屋が狭い場合は暗めのフローリングを選ぶと閉塞感が強くなるため、適度なバランスが重要です。
 

木目やテクスチャーも考慮する

 
フローリングのデザインには、木目や表面のテクスチャーも考えてみましょう。ナチュラルな木目が強調されたデザインは温かみがあり、リラックスできる空間を演出します。一方で、表面がツルツルしたタイプや木目が控えめなフローリングは、モダンでクリーンな印象を与えます。部屋全体のインテリアや家具のスタイルに合わせてフローリングの木目やテクスチャーを選ぶと、統一感のある空間づくりができます。

 

まとめ

 
床は、そこにあって当たり前であるからこそ、慎重に選ばなければいけません。頭の中だけでイメージするのではなく、ハウスメーカーや工務店と相談しながらベストな選択肢を模索してみましょう。機能性とデザイン性、そのどちらにも納得できるようなフローリングになれば、夢のマイホームでの生活も快適なものになるはずです。

 

木楽ハウス 代表 塩川昌志(二級建築士)

 

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