外壁材の種類と選び方を徹底解説!メンテナンス方法も
外壁材は、建物の外観の大半を占めています。
建物の印象に大きく影響するだけでなく、雨風から建物を守ってくれる大切な部分です。
今回は、そんな外壁材にはどんな種類があるのか、それぞれの特徴と選び方についても解説します。
また、施工後のメンテナンスも、どの外壁材を選ぶかにおいては重要な要素になります。
メンテナンス費用とメンテナンスの方法についても併せて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
外壁材は、色やデザインの違いだけでなく、素材にも様々な種類があります。
それぞれの素材でデザインが違うだけでなく、防水性や防音性などの性能にも違いがあります。
まずは、どんな外壁材の種類があるのかを見てみましょう。
サイディングは板状の外壁材で、木質系、樹脂系、金属系、窯業系の4種類があります。
軽くて耐震性に優れており、施工する工務店による仕上がりの差が出にくいのがメリットです。
デザインの種類も豊富で、戸建住宅ではよく用いられています。
木質系、樹脂系、金属系、窯業系のそれぞれに特徴があり、価格も少しずつ異なります。
特徴と価格を以下にまとめたので、検討する場合には一度比較してみると良いでしょう。
木質系は木材を主原料にしており、断熱性に優れていますが、防火性は他の種類のサイディングに比べると劣ります。
樹脂系は耐久性、防水性が高いので豪雪地域でも安心ですが、樹脂に伸縮性があるため上から別の色を塗装することができません。
金属系は強度が高いですが、錆びやすく傷つきやすいのがデメリットです。
窯業系は施工にかかる期間は短いですが、メンテナンス頻度が多くなるのがデメリットです。
モルタルは、水、セメント、砂を混ぜ合わせた外壁材です。
1990年頃までは、戸建住宅でよく用いられていましたが、窯業系のサイディングが普及したことで、現在では用いられることが少なくなりました。
モルタルの魅力は、塗装の方法を変えることで、様々な風合いに仕上げられることです。
繋ぎ目もないので、コーキングをする必要がないのもメリットですが、ひび割れしやすいというデメリットがあります。
ただし、下地処理をしっかりと行い、弾性のある塗料を使用することで、ひび割れを防ぐことができます。
テイスト | 初期費用(1㎡あたり) | メンテナンス |
味わいのある質感 | 2,000円〜8,000円 | 10年 |
タイルは、粘土などを使って形を作り、高温で焼き上げた外壁材です。
剥がれたり、ひび割れたりすることが少なく、耐久性や耐候性はサイディングより優れています。
水を吸収しにくいので雨に強く、地震によって剥がれ落ちてしまう心配もほとんどありません。
デメリットは、初期費用が他の外壁材よりも高いことで、サイディングの2倍以上かかるともいわれています。
しかし、タイルは汚れなどに強く、メンテナンスは主に目地の塗装や補修になるので、メンテナンス費用は比較的安く抑えられます。
テイスト | 初期費用(1㎡あたり) | メンテナンス |
高級感 | 13,000円〜35,000円 | 10年 |
ガルバリウムは、亜鉛、アルミ、シリコンを含む合金で、これにメッキが施された外壁材をガルバリウム鋼板といいます。
金属の弱点だった断熱性や遮音性を高めた外壁材で、優れた性能を持っています。
耐久性は25年〜35年ほどで、しっかりとメンテナンスを行えば40年以上持たせることも可能です。
とはいえ、定期的な塗り替えなどのメンテナンスは必要となります。
なお、防水性、防食性にも優れており、繋ぎ目がないのもメリットです。
テイスト | 初期費用(1㎡あたり) | メンテナンス |
スタイリッシュ | 5,500円〜7,000円 | 15年〜20年 |
塗り壁は、下地にモルタル、土、専用塗料などを施工して仕上げる外壁です。
土塗壁、漆喰壁、洋風の塗り壁など、施工方法次第で唯一無二の外壁をデザインできます。
防火性にも優れているので、戸建住宅においては、日々生活する上でとても安心です。
塗り壁は、ひび割れや汚れやすさを懸念される方も多いかもしれませんが、最近では耐久性の高い塗り壁も増えています。
テイスト | 初期費用(1㎡あたり) | メンテナンス |
手仕上げ | 6,000円〜8,000円 | 10年〜15年 |
ALCは、内部にたくさんの気泡を含んだ軽量のコンクリートです。
住宅、ビル、ショッピングセンターなど様々な建物で用いられており、地震に強く、耐火性、防火性、耐久性、防音性にも優れています。
繋ぎ目は劣化しやすいものの、メンテナンス次第で50年以上もの長い期間使い続けられるといわれています。
テイスト | 初期費用(1㎡あたり) | メンテナンス |
多様なデザイン | 2,500円〜6,000円 | 7年〜10年 |
ALCで注意したいのが、必ず塗装が必要となるため、上記の初期費用に加えて塗装費用もかかるということです。
例えば、30坪の住宅をシリコン塗料で塗装する場合、塗装費用は100万円〜140万円程度になります。
外壁材選びでは、どの素材にするのかと、どんな色にするのかを選ぶ必要があります。
先ほどご紹介した、それぞれの外壁材の特徴や費用に加えて、外壁材選びにおいて注意しておきたい点をご紹介します。
外壁材選びの際には、ぜひ参考にしてみてください。
外壁材は、建物を建てる地域の特性も考慮して選ぶことが大切です。
外壁材の特性には、防水性、遮音性、耐候性、耐火性などがあります。
例えば、豪雪地域では防水性に優れた金属系や樹脂系のサイディング、豊橋市のような住宅密集地で音が気になる場合には、遮音性に優れたALCがおすすめです。
このように、地域の特性も考慮しておくことで、より快適に日々の生活をおくることができます。
外壁材を選ぶ際には、初期費用だけでなくメンテナンス費用も考慮して選ぶようにしましょう。
値段の安さだけで外壁材を選んでしまうと、ひび割れや汚れなどが起こりやすくなり、それらのメンテナンス費用を含めると、かえって高額になってしまう場合があります。
初期費用が高くても性能の良い外壁材を使用することで、トータルの費用を抑えられて、なおかつメンテナンスの手間も少なくできる場合があるのです。
最近では、高性能で低価格な上に、メンテナンスの手間も少ない窯業系サイディングも登場しています。
なお、先ほどご紹介した外壁材の初期費用とメンテナンス頻度の比較表は以下の通りです。
外壁材の種類 | 初期費用(1㎡あたり) | メンテナンス | |
サイディング | 木質系 | 5,500円~8,000円 | 7年~10年 |
樹脂系 | 4,500円~9,000円 | 10年~20年 | |
金属系 | アルミニウム :5,000円〜8,500円
ガルバリウム鋼板:3,500円〜6,000円 |
10年~15年 | |
窯業系 | 3,000円〜15,000円 | 7年~10年 | |
モルタル | 2,000円〜8,000円 | 10年 | |
タイル | 13,000円〜35,000円 | 10年 | |
ガルバリウム | 5,500円〜7,000円 | 15年〜20年 | |
塗り壁 | 6,000円〜8,000円 | 10年〜15年 | |
ALC | 2,500円〜6,000円 | 7年〜10年 |
外壁材の色選びでは、カタログで見た色味と実際の色味が全く違っていた、ということがしばしばあります。
このような失敗を防ぐためにも、外壁材の色を選ぶ際には、カタログだけを見て決めるのではなく、なるべく実物を見て決めるようにしましょう。
同じ色でも、面積の大きさによって明るく見えたり暗く見えたりします。
カタログを見て気に入った色でも、広い面積の外壁に実際に施工してみると、全く別の色に見えることもあるほどです。
外壁材の色を確認するときには、カタログだけでなく、実物や実物の色により近い色見本を確認しておくと、完成時の差異が少なくなります。
外壁材の色選びでは、色の効果や周辺環境との調和も考えておくことが大切です。
色の効果には、例えば、ベージュやアイボリーは汚れにくく、パステルなどの淡色は色褪せにくいなどがあります。
また、白は明るい印象、黒はスタイリッシュな印象になります。
赤や紫は紫外線を吸収しやすく、劣化しやすいので外壁の色には不向きです。
このような色の効果の他に、周辺の景観に馴染むかどうかも意識して外壁材の色を選ぶことも大切です。
周辺の景観を考慮せずに外壁材の色を選んでしまうと、実際に建物が建ったときに1軒だけ浮いて見えてしまうことがあります。
例えば、白い建物ばかりの中に黒い建物があると、とても目立つようなイメージです。
外壁材の色選びでは、自分の好みで選ぶのはもちろんですが、周辺環境やエクステリアなどとの調和にも目を向けてみると良いでしょう。
ここまで、外壁材の種類や選び方を見てきましたが、他の方がどのような外壁材を選んでいるのかも気になるところです。
まず、1番人気なのは窯業系のサイディングで、70%を超える圧倒的なシェアを誇るといわれています。
コストパフォーマンスに優れていて、総合的に見ても優れた外壁材です。
2番目に人気なのが金属系サイディングで、約10%のシェアを占めています。
凍結やひび割れの心配がなく、耐久性に優れた外壁材です。
3番目に人気なのはモルタルで、シェアは約5%です。
費用を最も抑えられ、デザインの自由度が高いのも魅力の一つです。
外壁材を選ぶ際には、このような人気の外壁材の情報も参考にしてみると良いかもしれません。
外壁材を長持ちさせるためには、適切なメンテナンスが欠かせません。
そんな外壁材のメンテナンスは、具体的にどのようにすれば良いのか、どのようなことに注意すれば良いのかについて解説します。
どんなことにも共通しますが、やはり外壁材を長持ちさせるためにも定期点検は欠かせません。
日々、太陽や雨などにさらされる外壁材は、どうしても経年劣化してしまいます。
このため、定期点検で白カビの有無やコーキングの劣化の有無、外壁の表面が粉っぽくなるチョーキング現象の有無、表面の傷やサビの有無などを確認します。
定期点検は、一般的に10年〜15年に1回の頻度で行うと良いとされていますが、外壁材によって最適な定期点検の頻度は異なるので事前に工務店に確認しておくようにしましょう。
定期点検で問題が見つかった場合は、塗り替えや補修を行います。
具体的には、DIYでの補修のほかに、部分的な塗装や張り替え、重ね張り、シーリングの打ち替えや増し打ちなどがあります。
この中のどの方法を選択するかは、自分でどこまでDIYできるかや、外壁材の種類・状態に応じて判断しましょう。
DIYでできる作業としては、サイディングの塗装があります。
張り替えや重ね張りなどは技術が必要になるため、工務店などのプロへ依頼するのがおすすめです。
定期点検に加えて、日々生活していく中で気になった点があれば、工務店などへ、その都度相談するようにしましょう。
定期点検では気づけない点や、定期点検の合間に発生する不具合もあるので、定期点検任せにするのではなく、普段から外壁材の状況について気にしておくことが大切です。
これに加えて、外壁材のメンテナンスには、専門的な知識と技術も必要です。
自分で気になった点をプロに相談することで、適切なアドバイスや最適なメンテナンス方法を提案してもらえます。
外壁材には、様々な種類があります。
それぞれでデザインに違いがあるのはもちろんのこと、性能や費用、メンテナンスの点でも違いがあります。
このような各外壁材の特徴を考慮して外壁材を選びますが、他にも、建物を建てる地域の特性やメンテナンス費用も含めたトータルの費用も考慮しておくことが大切です。
色選びにおいても、自分好みの色を選ぶだけでなく、色の効果や周辺環境に馴染むかどうかについても一度目を向けてみましょう。
また、同じ色でも、面積の大きさによって明るく見えたり暗く見えたりするので、イメージと完成時との差異を少なくするためにも、外壁材の色を確認する際には、なるべく実物や実物の色により近い色見本を確認しておくことをおすすめします。
そのようにして選んだ外壁材を長持ちさせるためには、メンテナンスも欠かせません。
定期点検を行い、問題が見つかったら修繕するのはもちろんのこと、日々の生活の中でも外壁材の状態に注意を向けて、少しでも異変を感じたら工務店などに、その都度相談するようにしましょう。
ベーシックな2階建て住宅やコンパクトな平屋など、建物に合う外壁材をぜひ見つけてみてください。
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